整備士20年の経験を武器に未経験の鈑金・塗装に挑む — 中本昇利
本記事では、整備士として20年の経験を持つ中本昇利が、未経験の鈑金・塗装部門へキャリアチェンジした理由に迫ります。ルーチン化した整備士の仕事から一転、新しい挑戦への「ワクワク感」を原動力に、社内での新部署立ち上げをチャンスと捉えて社内異動。彼の挑戦と成長の軌跡、そして未経験だからこそ得られる充実感をインタビューしました。
整備職から鈑金・塗装部門へキャリアチェンジした理由を教えて下さい

私はもともと鈑金の世界に前から興味がありました。整備士として20年以上同じ会社でキャリアを積んできた中で、どうしても作業がルーチン化してしまって、新しいことに挑戦したいという気持ちがどんどん強くなっていったんです。
たまたま社内で鈑金工場を立ち上げる話が出たとき、これはチャンスだと思いました。自社内で新しい部署ができるなら、これまでの経験を活かしながら、新しいことに挑戦できる。しかも会社を変える必要がないので安心して挑戦できるという点が大きかったですね。整備士としてのキャリアだけに縛られず、新しい分野に挑戦できるというワクワク感が決め手でした。
キャリアチェンジ前の不安や期待はありましたか?

正直に言えば、最初は自分にできるのかという不安もありました。
鈑金や塗装は整備とは全く違う世界ですから。でも、車に触ることやバラして直すこと自体は昔から好きだったので、作業そのものには抵抗はありませんでした。むしろ、未知の作業に挑戦できる楽しみのほうが大きく、これまで経験できなかった作業を学べることに期待していました。新しい部署で自分の可能性を広げられる、技術を伸ばせる環境が待っていると思うと、自然と胸が高鳴りました。
新しいことへの挑戦で楽しかったことはなんですか?

整備士の仕事は最近の車だとあまり壊れないことが多く、どうしても日々の作業がルーチンになりがちです。でも鈑金・塗装はまったく違いました。傷のある部分に手を入れて元通りにする作業や、壊れているものをさらに壊して直す作業など、整備士では考えられないような工程がたくさんあります。
これがとにかく新鮮で面白く、新人の頃を思い出すような充実感を毎日感じています。作業一つひとつが目に見える形で結果となるので、手応えも大きく、やりがいを強く感じます。自分の手で傷を消して形を戻していくプロセスは、整備だけでは味わえない達成感があり、とても楽しいです。
未経験で大変だったことはなんですか?

鈑金・塗装で一番苦労したのは、作業に明確な答えがないことです。整備士の仕事は「部品を直せば終わり」という答えがありますが、鈑金・塗装はどの程度まで磨けば完成なのか、どこまで形を戻せばいいのかという判断が必要で、人によって感覚も異なります。最初はその見極めが本当に難しくて、思うように作業が進まないこともありました。
特に鈑金で形を元に戻す微調整や、塗装後の仕上げなど、細かい作業の判断は経験と感覚が求められ、答えのない作業に少しずつ近づいていくという過程は大変ですが、そこに挑戦する楽しさも同時に感じています。
整備士経験が活かされる場面はどのようなときですか?

整備士として培ってきた経験は、鈑金・塗装でも大いに役立っています。塗装する部分以外の取り外し作業や、内装部品の扱い、ドアの交換など、どの部品をどう扱うか体が覚えているので、初めて触る車でも抵抗なくバラすことができます。
さらに、他のメンバーが分解した部品を組み直す作業も、整備士としての経験があるためスムーズに対応できる。自分のこれまでの経験が今の仕事でも力になることを日々実感していますし、整備士としての知識や手の感覚は鈑金・塗装の世界でも大きな強みだと感じています。
現在の業務内容とお客様との関わりはありますか?

今は作業を覚えることに集中しているため、お客様と直接関わることはほとんどありません。しばらくはお客様対応の業務はなく、まずは技術を身につけることが最優先です。
作業の精度を高めること、手順を覚えること、そして安全に作業を進めることに注力しています。鈑金・塗装の作業は細かくて神経を使うので、集中力を切らさず、確実に作業を終わらせることが重要です。
仲間やチームの雰囲気を教えてください

鈑金部門のメンバーって、外から見ると頑固そうだったり、口下手そうな印象を持たれるかもしれません。でも実際に一緒に働いてみると、本当に優しくてフレンドリーな人が多いんです。仕事中ももちろん真剣ですが、飲み会やちょっとした休憩の場では、みんなでわちゃわちゃ盛り上がったり、笑い合ったりして、自然に距離感が縮まります。
今年の4月に立ち上がったばかりの新しい部署なので、経験年数も関係なく、全員が同じスタートラインから始めています。そのおかげで、意見を言いやすい雰囲気があり、みんなで建設的な議論ができるのがすごくいいところです。こうした環境は、未経験の私でも自分の考えやアイデアを発信しやすくしてくれています。
さらに、整備部門の若い社員とも協力しながら作業を進められるので、チーム全体で助け合いながら成長している実感があります。一人で作業するだけでは得られない充実感や達成感を、仲間と一緒に味わえるのはこの部署ならではの魅力だと感じています。こうして、仕事を通して自然にチームワークや信頼関係が育まれていく環境は、本当にありがたいですし、毎日楽しく働ける理由になっています。
一人で作業するのではなく、仲間と支え合って仕事を進められる環境は、自分にとって非常に心地よいと感じています。
会社のサポート体制はどのようなものがありますか?

サコダ車輌ではスキルマップという制度があって、社員一人ひとりが自分の「できること」を少しずつ増やしていく文化が根付いています。未経験で入社した私でも、時間をかけてじっくり挑戦させてもらえるのがすごくありがたいです。もちろん、ただ放置されるわけではなく、常に先輩たちが気にかけてくれています。
やりたいことや挑戦したいことを自分から発信すれば、先輩たちはサポートしてくれますし、時には手取り足取り教えてくれることもあります。自分の成長のために必要な経験を、意図的に学ばせてもらえる環境があるんです。こうした社風のおかげで、挑戦するハードルが低く感じられますし、失敗してもその経験を次に活かせるので安心して取り組めます。
私自身も、スキルマップを意識しながら少しずつ経験を積むことで、自分の成長を実感できています。こうした環境があるからこそ、新しいことに挑戦しようという気持ちも湧いてきますし、自分の技術やスキルを確実に伸ばしていけると感じています。先輩たちのサポートと挑戦できる文化があるサコダ車輌は、本当に自分を後押ししてくれる場所だと思います
今後の挑戦や習得したい技術を教えて下さい

今はまだ小さな鈑金作業を任せてもらっていて、例えばパネルのへこみを直したり、簡単な塗装を行うような作業が中心です。でも、年内には一人で作業を完結できるレベルになることを目標にしています。自分で考えて判断し、最後まで責任を持って仕上げられるようになれば、技術者としての自信も大きくなると思っています。
その先には、より高度な工程にも挑戦していきたいです。具体的には、パネルを切って貼り替えたり、フレーム修正機を使って車体の形を整える作業などです。こういった作業は、技術的に難易度が高く、慎重さも求められるので一歩間違えれば大きな影響が出る分、緊張感もあります。しかし、だからこそ挑戦する価値があり、挑戦することでしか身につかない技術やノウハウを学べると思っています。
また、リアフェンダーのようにボディと繋がった部分をカッターで切って直す作業なども、最初は大変そうに感じます。でもこうした作業を経験して初めて、鈑金・塗装の奥深さや手の感覚、作業のコツが身についてくるんです。未経験の状態で挑戦させてもらえること自体がありがたく、毎回の作業で学べることが多いので、やりがいや楽しさを強く感じています。挑戦しながら成長できる環境に身を置けることは、本当に貴重だと思いますし、この環境だからこそ、自分の技術を確実に伸ばしていける実感があります。
未経験者へのメッセージをください

何でもやりたがる人、挑戦することを恐れない人であれば、この職場ではどんどん成長していける環境があります。資格の有無はまったく問題にならず、経験がなくても、やる気と元気があれば十分に活躍できるのです。整備士部門においても、無資格者の採用は積極的に行われており、入社後も資格取得のためのサポート体制がしっかり整っています。先輩たちが一人ひとりの成長に目を向けてくれ、挑戦したいことを言えばすぐに任せてもらえる文化があるので、やる気があれば誰でも挑戦できる、学べる環境が自然とできています。
さらに、ここでは失敗を恐れずに新しいことに挑戦できる雰囲気が根付いています。自分のアイディアを試したり、手を動かして経験を積むことが歓迎されるので、成長のスピードは非常に速いです。資格取得の支援だけでなく、実際の作業の中で学び、先輩たちから直接アドバイスを受けられることも大きな強みです。やる気と元気さえあれば、未経験の分野でも怖がらずに飛び込むことができる。自分自身の成長を実感しながら、仲間と一緒に技術を磨き、チームの力を高めていくことができる、そんな恵まれた環境だと言えます。