未経験から「最高の整備士」へ:藤田雄大が語る、情熱と成長の軌跡

今回は、サコダ車輌で整備士として活躍する藤田雄大さんのキャリアに迫ります。学生時代に特別な目標を持たず、整備士としての経験もなかった彼が、いかにして「ベストエンジニア賞」を受賞するまでに成長し、若手リーダーとしてチームを牽引するようになったのか。その情熱と挑戦の道のりを紐解きます。

Q: まずは、現在の役職と担当業務について教えてください。

自動車整備の仕事を、チームリーダーとして働かせていただいています。今は現場で後輩たちに指示を出しながら、自分自身もバリバリと整備作業を行っています。整備士としては、簡単なオイル交換から重整備まで、幅広い作業をこなしており、後輩たちが抱えている仕事も一緒に対応しています。

Q: 学生時代はどのような経験をされていましたか?また、未経験にもかかわらずサコダに入社し、整備職を選んだ理由は何だったのでしょうか?

 

正直なところ、学生時代は学業に特に力を入れていたわけではありませんでした。目標もなく、特別にやりたいことも見つからず、なんだかんだと漫然と大学生活を送っていましたね。何か夢中になって取り組んだことがあるかと言われると、答えるのが難しい時期でした。

 

そんな中でサコダ車輌に入社を決めたきっかけは、就職活動が始まったタイミングで友人が誘ってくれたことでした。サコダ車輌の存在は知ってはいましたが、大学で全く違う微生物の実験などを学んでいたので、いきなり車屋という選択肢は考えていませんでした。

 

しかし、会社説明会で話を聞き、実際に現場で働く先輩たちの姿を見た時に、私が抱いていた「車屋さん」のイメージとは全く違う「熱いもの」を感じたんです。特に印象的だったのは、先輩がお客さんに大きな声で挨拶しながら、車が見えなくなるまで見送る場面でした。

 

一般的なディーラーとは違う、情熱と本気を感じました。学生時代に本気になれるものがなかった私にとって、「どうせ働くなら、本気でチャレンジできる仕事に就きたい」という強い思いが芽生え、サコダ車輌を志望する決め手となりました。その友人とは結局、違う会社に進み、私だけがサコダ車輌に残った形です。他の企業ももちろん本気で働いているとは思いましたが、サコダの先輩たちの情熱が圧倒的だったんです。

 

未経験で整備職を選んだのは、正直言って「逃げ」の部分もありました。学生時代は非常に内向的で、決まった友人としか話さず、大人数でいるのが苦手な性格でした。そのため、営業職は難しいだろうと考え、お客さんとの接点が少ないだろうと想像した整備士を選びました。あとは、体を動かす方が得意だったというのも理由の一つです。

Q: 入社前に抱いていた「整備士」のイメージと、実際に働いてみての違いはありましたか?また、そのギャップをどのように乗り越えられましたか?

入社前は、整備士は車をいじるだけの仕事だと思っていました。

しかし、実際に入社してみると、営業職よりもお客様と接する機会が多かったんです。このギャップには最初苦労しましたね。お客様と話すのも緊張しましたし、電話一本かけるのにも心臓がバクバクして、電話機の前で5分も10分も戸惑っていたこともありました。

 

ただ、逆にお客様と話す機会が多かったおかげで、人との接し方に慣れるのが早かった気がします。周りの先輩方もお客様との対話に長けた方ばかりだったので、一緒にいるうちに自然と会話ができるようになり、私自身の性格もだいぶ明るくなったと感じています。かつては暗い人間でしたが、仕事を通じて大きく変わることができました。

Q: 3級整備士資格取得に向けて、どのような学習方法を取りましたか?また、資格取得の中で苦労した部分はありますか?

講習は夜にあったので、ギリギリまで働いてから陸運局へ向かっていました。早退や欠席扱いにならず、きちんと出勤として扱われたのは本当にありがたかったです。会社が資格取得に対して非常に前向きで、全面的に協力してくれる環境なので、シフトで苦労することもありませんでした。

 

この資格を取ったのは、これからも整備士として仕事を続けていく上で、どうしても必要不可欠なものだからです。例えば、今年10月に受験する2級資格を持つと「整備主任者」になれ、他の人が行った作業のチェックができるようになります。

 

このような資格は、この先キャリアを積んでいく上で必ず必要になるんです。だから、いち早く取りたいという気持ちが強く、上司にお願いして取得させてもらいました。会社が費用を負担してくれますし、資格手当も支給されるので、受けない理由がありませんでした。周りの同僚も、整備士として働くなら資格を取るのは当たり前という認識です。

Q: 「ベストエンジニア賞」を受賞した時の率直な気持ちを教えてください。また、受賞を通じて、ご自身の仕事に対する姿勢やモチベーションに変化はありましたか?

率直に言って、とても嬉しかったです。ただ、実は複雑な気持ちもありました。表彰式の前日に、私の祖父が亡くなったんです。入社1年目の頃からずっとこの賞を取りたいと思っていて、今年はきっと取れるんじゃないかと期待していた年だったので 、悲しい気持ちの中で表彰式を迎えました。当日、私が受賞したことを知っていた上司が、写真や動画を撮って私に送ってくれたんです。私がどれだけこの賞を楽しみにしていたかを知っていたので 、その動画や写真を見て本当に嬉しさがこみ上げてきました。

 

「ベストエンジニア賞」は、整備士の中で最も活躍したと認められた賞で、自分の働き方が認められた結果だと感じています。私の中では当たり前のことですが、本当に仕事が好きなんです。給料もたくさんもらいたいし、認めてもらいたいという気持ちがあるので、正直、手を抜くタイミングは作っていません。その姿勢を周りの人も見ていて、評価してくれたのだと思います。

 

受賞後も、仕事に対する姿勢やモチベーションは全く変わっていません。賞を取れたら嬉しいですが、賞を取るために頑張っているわけではないんです。私にとって一番やりがいを感じる瞬間は、お客様が「藤田さんが担当してくれて良かった」と思って帰ってくださることです。お客様を幸せにして帰す、それが私の目標です。

 

整備に来るお客様は、車検や修理でお金がかかることにネガティブなイメージを持って来店される方が多いんです。営業の場合は車が欲しいというポジティブな気持ちで来店されるので、笑顔で来て笑顔で帰られることが多いですが、整備士はそうではありません。だからこそ、そのネガティブな気持ちをひっくり返して、「この人に担当してもらえて良かった」「次も指名したい」と言われる時が、私にとって最高のやりがいなんです。この気持ちは、賞を取る前も今も変わらず、私を突き動かす原動力になっています。

Q: 教える立場になって気づいた自分の強みや課題は何でしたか?また、後輩の成長で印象的だった出来事はありますか?

後輩の教育担当になった経緯は、正直、面と向かって聞いたことはありませんが、私の入社1年目からの頑張りが会社に認められたからだと聞いています 。私自身も未経験で入社し、大卒の後輩と同じような立場でしたから、私の働き方が「良いお手本になる」と考えられたようです 。

 

特に技術的な面だけでなく、仕事に全力で取り組む姿勢や、何にでも挑戦する姿勢を「背中で見せたり、実際に教え込んだりしてほしい」と言われた気がします 。

 

教える立場になってから、多くのことに気づかされました 。最も強く感じたのは、「人はそれぞれ違う」ということです 。ある教え方で理解できる子もいれば、そうでない子もいる。私ができてきた方法が、そのまま彼らに当てはまるとは限らないんです 。どうすればその子のやる気のスイッチを押せるのか、これは今も悩まされている課題ですね 。

 

もう一つは、「責任を背負う重さ」です 。後輩や部下が仕事をこなす中で、クレーム対応や判断に迷う場面が出てくるのですが 、これまでは私も上司に確認して対応する立場でした 。リーダーになって部下から質問されることが増え、自分の対応で本当に良いのか自信が持てない時もあります 。そんな時は、信頼できる上司に「こういう質問があったのですが、私はこう答えました。もしあなたならどう答えますか?」と裏で聞いて確認しています 。そこで違いがなければ自信になりますし、異なる意見があれば「まだまだ学ばなければ」と感じます 。この二つが、今私が直面している大きな悩みであり、大変だと感じる部分です。

 

最近では、彼が1年生の教育担当として、教育拠点に戻って指導している姿を見た時に、「自分の後を継いでいってくれている」と感じました 。正直な話、私が「ベストエンジニア賞」を取った時よりも、彼のような後輩の成長を見れた時の方が、私は嬉しかったです。

Q:将来的に挑戦してみたい役割や目標はありますか?

挑戦してみたい役割はあります 。入社した時から「店舗を管理してみたい」と思っていました 。

ただ、最近チームリーダーになって、その責任の重さに気づいたんです 。これを店舗全体の責任を自分が背負うとなると、「怖いな」と思うようになりました 。これまでは目標が遠すぎて見えていなかった部分が、少し近づいたら「こんな苦労があるんだ」「しんどそうだな」と感じることが多くなりました 。今一緒に働いている整備の責任者の方々とも仲が良く、釣りに行ったりもするのですが、話を聞いていると彼らが多くの苦労をしていることが分かります 。そういった状況を見ていると、自分がその立場になった時にちゃんとできるのか、最近とても不安に感じています 。

 

しかし、このままチームリーダーで止まってしまうわけにもいきません 。私の中では、成長が止まると仕事も楽しくなくなると思っています 。常に進化し、上を目指していかないと 。幹部の方も「停滞は後退みたいなものだ」と言っていましたが、本当にその通りだと思います 。常に上を目指すべきですが、今はリーダーになったばかりで、さらに上のリーダーになることには少し不安がありますね 。

Q: 最後に、サコダへの入社を検討している未経験者に向けてメッセージをお願いします。

 

サコダ車輌では、正直なところ最近は未経験の人が非常に多いです 。私の世代も、半分以上が未経験から整備士になっています。もちろん、私もまだ完璧なわけではありませんが、未経験者を受け入れるための教育カリキュラムや育成パターンがしっかりとできていますので、全く気にしなくて大丈夫です 。

 

むしろ、無資格でやる気のある子の方が、資格を持っている子よりも早くレベルを追い越してしまうこともあります 。専門学校で取得した資格が、正直、現場でほとんど役に立たない部分もありますし、資格だけでなく実際に経験しないと分からないことの方が圧倒的に多いんです 。だから、「資格がないから整備士を諦める」というのは、全く違うと思います

 

私自身も未経験で入社して5年間できていますから、心配いりません 。私たちのような、かつて無資格だった先輩たちが教えるので、分かりやすく教えられますし、あなたの立場や気持ちも理解しながらサポートできます 。

 

サコダ車輌を一言で表すなら、「働く社員が輝く会社」だと思います 。社長も「人で差をつけろ」と常々言っていますが、まさに人に力を入れている会社です 。

 

他のディーラーと差別化する上で、サービスや金額が多少違っても、「あの人だから」とお客様がついてきてくれる。そんな「人が良い」社員が揃っている会社だと幹部も言っています 。私自身も、目標がなかった学生時代に、輝いている先輩たちを見て、「自分も輝きたい」と思ってこの会社を選びました 。だからこそ、ここで働くことは本当に魅力的だと感じています。