未経験から新人賞受賞。広島の地域密着型整備士へ——「泊 美裕」が語る、技術と顧客に真摯に向き合う喜び

今回は、地域に根ざした事業展開で知られる「サコダ車輌」の整備士として活躍する泊 美裕さんにインタビューしました。未経験からこの世界に飛び込み、お客様からの「ありがとう」を原動力に成長を続ける泊さんのキャリア、そして会社と共に歩む道のりについて深掘りします。

Q: まずは自己紹介をお願いします。そして、整備の仕事は未経験でのご入社だったとのことですが、なぜこの業界を選んだのですか?

私は未経験でこの業界に入りました。

高校生の頃から車やバイクが好きでした。大学はスポーツで陸上ハンマー投げでインターハイや国体に出場経験がありましたが、大学を卒業する時にはやはり車やバイクの整備士になりたいという思いが強くありました。就職活動の時期には、もうこの業界に進もうと決めていましたね。

幼い頃から、親がバイクを整備する姿を見て興味を持ち始め、高校も機械科に進んだので、自然とこの道に惹かれていきました。特に、親のバイクの後ろに乗せてもらって早朝5時半頃からツーリングしていた時間が好きでした。

Q: 整備士という選択肢が他にもある中で、なぜ「サコダ」を選ばれたのでしょうか?

大学は神奈川でしたが、私は地元広島がとても好きで、広島で就職し活躍したいという強い思いがありました。広島で一番有名な会社がサコダ車輌だったため、小さい頃から知っていて応募しました。

東京など広島に店舗がある他の会社も検討しましたが、転勤があるため辞退しました。サコダの「地域、広島に根差した」という経営理念に深く共感したのが一番の決め手です。広島では公共交通機関があまり発達していないため、車がないと不便な地域に密着し、お客様に寄り添うという考え方に強く惹かれました。また、「広島で一番になる」という目標も、自分の「広島で活躍したい」という思いと合致しましたね。

私は、広島の島(生口島)出身で、その温かみのある県民性が好きでした。また、国体出場時にはプロアスリートのような手厚い待遇を受け、スポーツでも広島にお世話になったので恩返しがしたいという気持ちもあります。

Q: 入社前の「整備士」のイメージと、実際に働いてみてのギャップはありましたか?

元々、整備士の仕事は車だけと向き合い、黙々と整備をするものだと思っていました。

しかし、サコダでは整備士がお客様に直接接客をするんです。

自分で話をして提案し、お客様に納得してもらってから受注する、という形です。接客は数字を意識しながらどう達成するか日々考える必要があり、お客様によって説明の仕方も違うため、分かりやすく伝えるために知識を増やす努力をしています。技術は実践を通じて身につくものですが、お客様との対話を通じて知識が深まるのは大きなやりがいだと感じています。

Q: 実際に働いてみて、最初に感じたギャップや驚きは?

整備に関しては、車の部品が車種によって全く異なり、同じ作業でも外すネジなどがバラバラであることに苦労しましたね。お客様への説明で略語や難しい言葉を使ってしまい、なかなか理解してもらえないこともありました。

どうしたらもっと分かりやすく伝えられるか、日々試行錯誤しています。

Q: 3級整備士資格を取得されたとのことですが、どんな努力をされましたか?

3級の講習は4ヶ月間ありました。午前中は仕事をして、午後からは夜間の講習を受けるという日々です。講習で学んだことを現場でアウトプットし、足りない部分は家で勉強しました。

資格取得を考えたのは、将来的に検査員の資格を取りたかったからです。そのためには3級、2級、1級と段階を踏む必要があり、無資格からでは早く取得するためには一発合格が不可欠でした。

会社が資格取得を全面的に支援してくれ、費用も全額出してもらえたのはとても大きかったです。仕事と両立しながら資格が取れるのは恵まれた環境だと感じています。シフトも調整してもらい、午後から早退できるような配慮もありました。現場を抜けることに申し訳なさも感じましたが、周りの先輩方は「頑張って」「一発で取れるように」と応援してくれましたし、先輩も全員資格を持っているので、理解がありましたね。

Q: 入社してから自分の成長を感じるポイントはどんなところですか?

入社2年目までは自分のことで精一杯でしたが、3年目になって新人の教育を担当するようになってから、周りを見られるようになったと感じています。

新人教育では、一人ひとりの性格や考え方が違うため、同じことを伝えても響く子と響かない子がいて、アプローチの仕方に難しさを感じました。どうしたら彼らのモチベーションを上げられるか、5年目の先輩や上司に週3回ほど相談して悩みましたね。
また、社内表彰で整備職部門の新人賞を受賞したときも成長を感じました。新人賞というのは、勤続3年目までの社員が対象の社内表彰で、全店舗の店長や工場長以上の役職者が投票して決まる賞なんです。私は入社2年目のときにこの賞をいただきました。

車検の利益で全店舗中2位に入ったり、一般整備でも3位に入ったりと、いくつかの部門で3位以内にランクインできたことが評価されたみたいでした。また、日々の挨拶やお客様との接客など、“働き方”の部分も良いって言ってもらえたのが嬉しかったですね。
勤続3年目の先輩たちはすごく力のある方ばかりで、かなり意識していました。だからこそ、日常の小さなことも手を抜かず、差をつけられるよう意識して動いていました。
 

Q: 新人教育で嬉しかったことは何ですか?

最初は無資格で工具の使い方も分からなかった新人が、3ヶ月半で車検の基本的な整備を一人でこなせるようになったり、接客も高い質でできるようになったりしたことです。また、会社のスキルマップも短期間でかなりの量を埋めることができたので、目に見える形で成長してくれたことが本当に嬉しかったです。

Q: 現在はどんな車や整備内容を担当していますか?やりがいを感じる瞬間は?

メインは車検のアシスタント、つまり接客です。一番のやりがいは、お客様から「ありがとう」と言われることですね。

特に印象に残っているのは、車の状態が悪く修理費も高額になるお客様に対して、悪い点は正直に伝え、最終的に買い替えを提案した時のことです。時間をかけてお客様と話し、納得して乗り換えを決めていただきました。後日、納車で来店された際に、営業マンから「転勤で広島に来て安心して任せられる整備工場が見つからなかったが、泊さんがいたからこれからも整備をお願いしようと思う」と褒めていただいたと聞きました。これが本当に嬉しかったです。

お客様に安心し、納得して整備を任せてもらえること、そして「ありがとう」という言葉が、私の最大のモチベーションであり原動力です。

Q: 整備の仕事で「これは向いている」と感じる瞬間はどんなときですか?

お客様と話している時が一番楽しいと感じます。一人で黙々と整備している時も楽しいですね。お客様と笑顔で話しながら、内容を決めていく中で、お客様も自然と笑顔になってくれる瞬間は、とても喜びを感じます。

Q: 整備チームの雰囲気や先輩たちとの関係はどうですか?

チームの雰囲気はとても良いです。楽しいですし、居心地がいいですね。先輩が積極的に気遣ってくれますし、私からも話しかけたり、たまにはふざけたりもします。ただ、整備のことで分からないことを聞く時は、しっかり真剣に教えていただけるので、仕事のオンオフがしっかりしていると感じます。

仕事帰りには飲みに行けませんが、目標達成会や繁忙期が終わった後には、店舗の20人ほどの整備士と営業も一緒に集まって労う飲み会があり、とても楽しいです。お昼も食べる場所がひとつなので。時間をずらしながらも皆で一緒に食べています。

Q: 働きやすいと思う瞬間はどんな時ですか?

やりたいことや覚えたいこと、そして困ったことを、気軽に上司や同僚に相談できる環境が整っている時です。忙しい時期は入庫台数も多く、一人ひとりの業務量が増えることもありますが、その分現場で学べる機会も多く、日々スキルアップを実感できます。

チャレンジを歓迎してくれる風土があるので、自分の意欲次第でどんどん成長でき、その過程を周囲が応援してくれることも大きな魅力です。困ったときには必ず誰かが手を差し伸べてくれる安心感があるため、長く働きたいと思える職場だと感じます。

Q: この会社らしさを感じる瞬間や、働いていて嬉しかったことは?

「サコダらしいな」と感じるのは、社員旅行や運動会、ボウリング大会など、部署の垣根を越えて全社員が一体となって盛り上がるイベントが多いところです。年に5~6回ほどの行事は、仕事のモチベーションを高めるきっかけになり、普段あまり接点のない仲間とも交流できる貴重な場になっています。イベントの中で見せる先輩や上司の意外な一面や、普段は話せないような本音トークも楽しみのひとつ。こうした温かくてフラットな雰囲気が、仕事でもお互いを思いやれる関係性を生み出していると感じます。

Q: 今後チャレンジしたい整備の技術や役割があれば教えてください。

資格は2級以上を目指したいです。役職としてはチームリーダーになり、メンバーをまとめる存在として、店舗の数字を追っていきたいと思っています。店舗のために、数字を追うためにどうしたら良いかを考えられる立場になりたいですね。自分の範囲だけでなく、店舗全体をより良くできるリーダーになりたいです。憧れている先輩もいます。

また、お客様の要望や困り事をすぐに解決できるよう、知識と技術を磨いていきたいです。そして、先輩に聞かなくても、最初から最後まで一人で完結できる整備士になりたいです。リーダーになるためにも、様々なことを一人で対応できる能力が必要だと考えています。

Q: ご自身が新人の頃を思い出して、これから就職活動をする後輩に伝えたいことはありますか?

私が「良いな」と感じたのは、会社の経営理念や会社が求める人物像で会社を選ぶことです。面接で「車の整備がしたい」と伝えた時、面接官(今の上司)に「別にうちじゃなくてもいいんじゃない?」と言われました。そして、「もし将来、車の整備ができなくなった時に辞めるのか?」と聞かれ、その時は答えられませんでした。

そこで、やりたいことだけで選ぶのではなく、会社が掲げている理念や目標に自分の思いがマッチするかで選ぶことが重要だと教えてもらいました。もしそれが合わないなら、どんなに好きな仕事でも続かないだろう、と。この言葉に納得し、今の会社を選びました。何をするかよりも、その会社が何を大切にしているか、どのような未来を目指しているかを重視して選ぶ方が、長く働き続けられると思います。

Q: 最後に、サコダ車両という会社を一言で表すと何ですか?

「自分の成長を応援してくれる会社」です。挑戦を後押ししてくれる先輩や仲間がいて、努力すれば必ず見てくれる環境があります。少しでも興味があれば、思い切って一歩踏み出してみてください。